島根県農業経営・就農支援センター(旧:島根県農業経営相談所)

農業経営での課題の解決に向け専門家を派遣し経営をサポートします。

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株式会社MOGMOG
藤井 拓次郎さん
島根県江津市後地町

支援テーマ    支援回数    従業員
  • 法人化支援
  • 専門家支援 2回
  • 1人

相談内容・現状課題

■相談内容

 相談者はICTを活用した新技術に取り組み、水稲を中心に野菜の生産も行っている地域の中核的経営体である。経営体質の強化が急務であることから、次の相談があった。

  1. 園芸品目(イチゴ)の事業化などによる経営多角化と収益確保
  2. 経営多角化と雇用確保に対応するための法人化
  3. 園芸導入に係る施設整備(補助事業の活用)

■現状課題等

  1. 現状の経営状況を踏まえ、将来的に園芸作目の事業展開をし、経営多角化(雇用確保を含む)を進めていくための経営ビジョンが必要
  2. 法人設立に向け、現経営から新設法人へ移行する資産移譲や財務会計などの具体的手続きの明確化
  3. 雇用に係る社会保険などの理解を深めた上での具体的手続きの実施が必要

相談所の支援体勢・伴走支援チームからの改善提案(問題解決方法)

■支援内容

  1. 雇用確保を図るために、法人化し、社会保険を充実させるための支援を実施
    • 法人設立に係る諸手続に、税理士、社会保険制度について、社労士による相談対応の実施
    • 資産譲渡仕訳を含むソリマチ農業簿記初期設定および旅費交通費や個人の未払金処理についての指導の実施
  2. 経営多角化への支援を実施
    • JAリースハウス事業および借入処理について、税理士による相談対応の実施
    • 補助事業に係る支援について、江津市再生協議会による相談対応を実施

支援の成果・その後の状況

■支援の成果・その後の状況

  • 平成31年1月15日法人設立
  • 法人化に係る不安は、状況に応じた専門家派遣により解消できた。
  • 今後の申告事務を派遣税理士に委託
  • 経営多角化および施設整備について、継続支援を実施
  • 相談窓口をJAしまね担当TACとする

■伴走支援チームの代表者所感

 従前より、法人化に向けて関係機関で支援を行っていたが、税理士、社会保険労務士が専門的なアドバイスを行ったことで、法人化への不安が払拭され、法人設立がスムーズに進んだ。
 今後も早期経営安定に向け、相談所を活用しながら支援を継続していきたい。

株式会社わなか
生越 大地さん
島根県大田市

支援テーマ    支援回数    従業員
  • 経営の確実な継承のための法人化
  • 専門家支援 5回
  • 4人

相談内容・現状課題

■相談内容

 相談者は、家族労働力4名を主体とした水稲7.8ha+園芸3haの複合経営での専業農家である。(臨時雇用1名)平成30年に地域の担い手が高齢化により離農したことから約3haの農地を引き受けた。法人化は2年後(令和3年)を計画していたが、農業の労働力不足が喫緊の課題の中、早期に法人化し経営と雇用の安定を図る

  1. 資産の法人への移行方法
  2. 雇用のための条件整備

■現状課題等

・経営分析の結果、家族労働(両親70歳代)に限界があるため雇用の検討が必要。それに関連して今後の雇用環境を整えていくための専門家の支援が必要。

・法人化をするにあたり、定款作成、個人から法人への資産引き継ぎについて専門家の支援が必要。

相談所の支援体勢・伴走支援チームからの改善提案(問題解決方法)

■支援内容

  1. 支援チームの編成
    • 普及指導員、市、JA、司法書士、税理士、社会、保険労務士 計8名
  2. 支援内容
    • 司法書士による法人設立支援
      株式会社を設立したいという意思が固まっていたため、株式会社の設立登記申請に関する事項を指導。
      ・設立登記までの手順の説明
      ・設立に向けた必要書類の説明
      ・相談者が準備していた定款案をもとに作成支援
    • 税理士による資産の引き継ぎ支援
      ・個人資産を法人資産にする又は賃借する場合の税金処理
      ・減価償却の処理・個人と法人の違いについて
      ・法人設立を令和2年1月予定とし、未収穫農産物(イチゴ)の原価計算、棚卸しの実施について
  3. 労務環境整備支援
    • 今後は雇用を検討、季節の繁閑もある中で、どのような労務管理が必要か指導。
      ・労働関係法令及び労働条件設定等の説明
      ・安全・衛生管理について
      ・役員報酬及び給与月額の設定について
      ・社会保険・労働保険及び保険料負担について

支援の成果・その後の状況

■支援の成果・その後の状況

  • 労働力不足が深刻化する中で、各専門家の指導内容に沿って一つずつ進めた結果、当初令和3年度としていた予定を前倒しして令和2年1月8日に法人化することができた。家族4名で法人として歩み出したが、両親も高齢であることから、今後は人材確保に向け、社会保険労務士からの指導内容を踏まえて、具体的な労働条件等を設定していくこととしている。相談者は地域の農業士会の会長であり、地域農業を牽引する存在として期待されていることから、関係機関が一体となって引き続き支援をしていくこととしている。
  • 法人化後に研修生を受け入れる

■コーディネーター所感

法人化に当たって本地域では、①司法書士による法人化の利点・欠点や手順⇒②税理士による税務・資産関係⇒③社会保険労務士による労働・雇用関係という3つの視点から指導を行う手法をモデル化しつつある。指導・助言内容に責任を持つという観点から、専門家は地元在住としているのも本地域の特徴だ。本手法は、効率的に法人化を行うことができた事例として、他地域への波及が期待できる。

株式会社 イ農ベルみだみ
出羽秀治さん
島根県出雲市

支援テーマ    支援回数    従業員
  • 経営診断&トヨタ生産方式導入による経営改善
  • 専門家支援 3回
  • 32人

相談内容・現状課題

■相談内容

 菌床椎茸栽培を行っているが、近年は、コロナ禍の影響もあり、厳しい経営状況が続いている。健全な経営を図っていくため、会社が抱えている課題の把握と分析、その対応策について様々な専門家のアドバイスをもらいたい。

■現状課題等

 リースハウスを建設し、面積を拡大。売上高は向上したが、費用も大幅に増大。
コーディネーターによる経営診断の結果、①売上高の拡大、②限界利益の向上(材料費等の削減)、③人件費の削減の3項目について改善が必要と判断。
当面の課題として、人件費削減に向けた「労務管理」と、効率の良い生産に向けた「生産管理」の2つに絞って支援を実施。

相談所の支援体勢・伴走支援チームからの改善提案(問題解決方法)

■支援内容

「労務管理」については、中小企業診断士を派遣。「生産管理」については、日本政策金融公庫の事業を活用し、トヨタ生産方式を指導する(株)カイゼン・マイスターを派遣。

  1. 労務管理支援(中小企業診断士)
    • 作業量と人員の最適化
    • 目標作業時間の短縮化
    • 従業員のモチベーション向上方法の提案
  2. 生産管理支援((株)カイゼン・マイスター)
    • 作業計画の見える化
    • 「標準作業書」の作成
    • 作業時間管理の導入
    • 現場を確認しての個別改善提案
    •   -高所・低所での作業者分け
    •   -カート、コロコン等導入による負担軽減
    •   -用品・道具等の配置変更
    •   -動線を重視した作業場のレイアウト変更 ほか
    • フレックス制度導入による「働き方改革」
    • ハウス別収穫実績表の記載内容の改善

支援の成果・その後の状況

■支援の成果・その後の状況

提案項目の中で、すぐに対応可能なところから実践。従業員からは、作業場のレイアウトを変更したことで、「歩行のムダ」が改善され、動きやすくなった等の声があがっており、生産性向上に繋がっている。
 相談所としては、進捗状況を関係機関と共有し、改めて経営診断を行うなど、改善状況を注視しながら、必要に応じて専門家の派遣を行うなどの伴走支援を実施。

■伴走支援チームの代表者所感

経営診断により課題が明らかになったことから、中小企業診断士による労務管理、公庫事業を活用した生産管理の改善支援をスムーズに行うことができた。
 提案事項については、社長を中心に取り組んでおられるが、相談所、伴走支援チームによる継続した支援が重要と考える。
島根県農業経営・就農支援センター

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